- 「不動産投資の平均利回りをエリアや物件タイプごとに知りたい」
- 「不動産投資の理想的な利回りが知りたい」
- 「不動産投資の利回りを確認する際の注意点が知りたい」
上記のように考えている方は、この記事がおすすめです。
不動産投資は投資物件が1つの資産となるうえ、安定した家賃収入が期待できるとして、副収入や老後の年金代わりに検討している方が多くいます。
一方で、不動産投資を検討している投資家の中には、そもそも利回りとは何なのか、エリアや物件ごとの平均利回り、計算方法などが知りたいという方も多いでしょう。
この記事では「不動産投資の平均利回りから計算方法」まで詳しく解説していくため、ぜひ参考にしてください。
- 利回りにはいくつか種類がある
- 物件価格が高いと利回りは低くなりやすい
- 地方物件は高利回りな傾向がある
- 理想の利回りは相場+1~2%
- 表面利回りだけで判断しない
- 長期的な収益性も重要なポイント
不動産投資の利回りとは

不動産投資の利回りとは、購入物件の価格に対する年間の運用収益の割合を指します。
つまり、不動産をいくらで購入し年間いくらの利益が発生しているかにより計算されるのが、不動産投資における利回りなのです。
利回りは物件価格により大きく変化するため、新築や中古など不動産のステータスによっても、相場や理想は異なってきます。
不動産投資の利回りは、利益に直接関わる指標なため、物件選定から売却時に至るまで、常に重要視すべきポイントです。
ここからは、そんな不動産投資の利回りの種類や計算方法をご紹介します。
利回りを理解することは、不動産投資の成功率を大きく左右するため、ぜひ参考にしてください。
表面利回りと実質利回り
不動産投資における表面利回りとは、不動産運用で必要な経費や税金などを考慮せず、物件購入費用と家賃収入のみを基に割り出される利回りです。
運用時に発生する諸経費などが考慮されていないため、表面利回りでは大まかな収益率が把握できます。
一方で、実質利回りとは、物件購入費用と家賃収入だけでなく、不動産運用時に発生する諸経費や税金など、全てを考慮して割り出される利回りです。
そのため、実質利回りを確認すると、多くの場合は表面利回りを下回る結果になります。
不動産投資会社の広告やPR時には、表面利回りが良く使われているため、実際に物件選定を行う場合は、実質利回りを参考にすると良いでしょう。
想定利回りと現行利回り
不動産投資における想定利回りは、年間の家賃収入を物件購入費で割るため、考え方自体は表面利回りと同じです。
しかし、表面利回りとは異なり想定利回りでは、家賃収入の金額が「想定額」となります。
想定額とは相場から推測される金額なため、実質利回りと比較すると高水準な利回りになりやすいです。
表面利回りと同様に、想定利回りは不動産投資会社が広告やPR時に多く使うため、実際の物件選定ではやはり、実質利回りを参考にすべきでしょう。
一方で、現行利回りも想定利回りと同様に、年間の家賃収入を物件購入費で割って計算します。
しかし、現行利回りで使う家賃収入の値は、空室も考慮した現在の家賃収入に基づいているため、想定利回りよりも正確な利回りが確認できます。
とはいえ、現行利回りも実質利回りのように諸経費などは考慮しないため、正確さを求める場合には、やや注意が必要でしょう。
計算方法
表面利回り(グロス)の計算方法
実際の不動産投資を想定したうえで、表面利回り(グロス)の計算式に当てはめていきましょう。
まず、不動産投資の表面利回りの計算方法ですが、以下の式により割り出します。
- 年間の家賃収入÷物件購入費用×100=表面利回り
例えば、2,000万円で物件を購入したうえで、年間の家賃収入が96万円(8万円×12か月)だった場合は、以下のようになります。
年間の家賃収入÷物件購入費用×100=表面利回り
- 96÷2,000×100=4.8%
つまり、2,000万円で購入した物件で、年間の家賃収入が96万円の場合、表面利回りは4.8%と計算可能です。
一方で、前項でも解説した通り、表面利回りは不動産投資で発生するコストを考慮していないため、あくまで目安や概算程度に参考にすると良いでしょう。
実質利回り(ネット)の計算方法
次は、実質利回り(ネット)の計算式に対して、実際の不動産投資を想定した数値を当てはめていきましょう。
まず、不動産投資の実質利回りの計算方法ですが、以下の式で割り出せます。
- (年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件購入費用+購入時の諸費用)×100=実質利回り
表面利回りと異なり、年間の諸経費や購入時の諸費用などを考慮した計算式となりますが、これらのコストには一般的に以下のような内容が反映されます。
年間の諸経費
- 管理費や修繕費
- 固定資産税や都市計画税
- 火災保険や地震保険
- 賃貸管理手数料
購入時の諸費用
- 仲介手数料
- 登記費用
- ローン関連の費用(手数料や団体信用生命保険など)
上記を踏まえたうえで、年間の家賃収入が96万円(8万円×12か月)、物件価格を2,000万円、年間の諸経費が20万円で購入時の諸経費が100万円だった場合、以下のような計算になるのです。
(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件購入費用+購入時の諸費用)×100=実質利回り
- (96-20)÷(2,000+100)×100=約3.62%
つまり、これらの条件で算出すると、実質利回りは約3.62%となり、同条件の表面利回り4.8%と比較すると、およそ1.2%下がる計算となります。
このように表面利回りと実質利回りでは、年間の利回り算出が大きく異なるため、やや計算が複雑になりますが、不動産投資では実質利回りを基に運用プランを組み立てるようにしましょう。
不動産投資の平均利回りは何%?

この項目では、主要エリアと物件ごとに分けて、不動産投資の平均利回りが何%くらいなのかを解説していきます。
不動産投資の平均利回りは物件タイプや条件、立地などにより様々左右されるため、一概には言えません。
そのため、あくまで表面利回りによる目安として、主要エリアと物件ごとの平均利回りを参考にしてください。
主要エリアの平均利回り
まずは、一般財団法人日本不動産研究所により実施された、2023年4月時点の「不動産投資家調査」を基に、不動産投資の主要エリアにおける平均利回りをご紹介します。
不動産投資において、主要エリアの平均利回り(表面利回り)は以下の通りです。
| エリア名 | 平均利回り(ワンルーム) | 平均利回り(ファミリー向け) |
|---|---|---|
| 東京(城南地区) | 3.8% | 3.9% |
| 東京(城東地区) | 4.0% | 4.1% |
| 札幌 | 5.0% | 5.2% |
| 仙台 | 5.1% | 5.2% |
| さいたま | 4.7% | 4.7% |
| 千葉 | 4.7% | 4.8% |
| 横浜 | 4.5% | 4.4% |
| 名古屋 | 4.6% | 4.7% |
| 京都 | 4.8% | 4.9% |
| 大阪 | 4.4% | 4.4% |
| 神戸 | 4.8% | 5.0% |
| 広島 | 5.2% | 5.3% |
| 福岡 | 4.7% | 4.7% |
引用:第48回 不動産投資家調査 -一般財団法人日本不動産研究所-
上記表を確認すると、東京をはじめ都市部がやや平均利回りが低く、地方エリアの方が高めな相場となっています。
また、単身者向けのワンルームとファミリー向けの物件では、全体的に0.1%前後の差はありますが、ほとんど平均利回りが変わらないことが伺えます。
一般的に、物件価格が高い方が利回りは低くなりやすいですが、今回の調査ではワンルームより高価なファミリータイプであっても、同程度の平均利回りです。
そのため、初期費用は高くなりますが、不動産投資でより多くの家賃収入を得たい場合は、ワンルームよりもファミリー向けが最適でしょう。
とはいえ、都市部の物件は資産価値が下がりにくく、地方の高利回り物件は流動性が低い(売却しにくい)など一長一短あるため、投資目的に合わせた物件選定が重要です。
物件ごとの平均利回り
次は、不動産業界に関して市場調査を行い、日々レポートを発表している「健美家」のデータを基に、物件ごとの平均利回りをご紹介します。
不動産投資において、物件ごとの平均利回り(表面利回り)は以下の通りです。
| 物件タイプ | 平均利回り | 前期比利回り変動 | 物件価格 | 前期比物件価格変動 |
|---|---|---|---|---|
| 区分マンション | 6.57% | -0.15% | 2,232万円 | 5.33% |
| 一棟アパート | 8.21% | -0.05% | 7,775万円 | -1.23% |
| 一棟マンション | 7.73% | -0.03% | 1億7,884万円 | 1.65% |
上記を確認すると、3つの物件タイプでは一棟アパートが最も平均利回りが高くなっています。
利回りは物件の価格によって大きく左右される一方で、区分マンションの価格が5.33%上昇しており、都市部の需要上昇が反映された可能性が考えられます。
一棟アパートは利回りこそ安定しているものの、物件価格の下落が続くと、投資判断が難しい状況に陥る可能性があるかもしれませんね。
利回りと需給バランスどちらも大切なため、こちらも投資目的に合わせた、慎重な物件選定が求められるでしょう。
不動産投資の理想的な利回り

不動産投資の理想的な利回りは、一般的に「相場+1~2%」と言われています。
前項で紹介した表を参考にすると、東京都(城東地区)のワンルーム投資では、平均利回りが4.0%であったため、理想的な利回りは5~6%と言えます。
一方で、利回りが理想よりも低いからといって、条件の悪い不動産とは限りません。
これまでお伝えしてきたように、基本的に物件の購入価格が高くなると、利回りは低くなる傾向があります。
しかし、「バス・トイレ別」や「オートロック付き」など、オプションによっても購入価格は高くなるため、必然的に利回りは低く算出されるのです。
ですが、ただのワンルームと上記のようなオプションが付いた住みやすいワンルームでは、当然後者の方が入居需要は高くなると考えられます。
そのため、理想的な利回りを考える場合は、同時に継続的な収益が見込めるかも念頭に置いておくと良いでしょう。
不動産投資の利回りの最低ライン

不動産投資の利回りにおいて、最低ラインは投資目的や立地など各種条件により異なるため、一概にこれくらいといった具体的な指標はありません。
そのうえで、一般財団法人日本不動産研究所により実施された、2023年4月時点の「不動産投資家調査」では、東京都(城東地区)のワンルーム投資の平均利回りは4.0%です。
立地や条件によりもちろん変動しますが、1つの目安として東京都(城東地区)のワンルーム投資であれば、4.0%前後を意識すると良いでしょう。
一方で、不動産投資では利回りの高さだけでなく、継続的に安定した収益が得られるかという視点も非常に重要となります。
例えば、都心部は地方に比べて利回りが低いですが、人口が多く地方物件に比べて必然的に入居需要が高いため、空室リスクが低く安定した不動産運用がしやすい傾向にあります。
ただ利回りを追い求めて地方物件を購入してしまい、相対的な人口の少なさや過疎化などにより、空室状態が続き安定した家賃収入が得られないケースも多々あるのです。
築年数が古いと利回りは高くなりやすいですが、修繕費や管理費で多くの追加資金がかかる場合もあります。
そのため、不動産投資を行う場合は利回りの最低ラインを踏まえたうえで、各物件の条件や自身の投資目的と照らし合わせながら、運用プランのバランスを検討すべきでしょう。
不動産投資の利回りを確認する際の注意点

ここからは、不動産投資の利回りを確認する際、気を付けるべきポイントを以下に沿ってご紹介します。
特に、不動産投資会社の広告やPRの利回りを鵜呑みにしてしまうと、実際運用した後に思った収益が得られずに、後悔してしまう可能性があります。
そのため、不動産投資で長期的に安定した利益を得るためにも、注意点を把握したうえで、それぞれの利回りを検討していきましょう。
表面利回りだけで判断しない
不動産投資で利回りを確認する際、表面利回りだけで判断しないよう注意しましょう。
表面利回りは、年間の家賃収入と物件の購入価格のみで算出された数値なため、不動産運用で発生する諸経費は、一切反映されていません。
そのため、表面利回りの高い物件を購入したものの、実際に運用してみると想定よりも収益が少なく、納得できる不動産投資にはならない可能性があるのです。
特に、不動産投資会社が広告やPRで表記している利回りは、表面利回りである場合が多いため、利回りを確認する際は慎重に判断しましょう。
経費を含めシミュレーションを行う
不動産投資で利回りを確認する際は、経費を含めシミュレーションを行いましょう。
不動産投資では、購入時の手数料をはじめ不動産運用時の管理費用など、様々な諸経費が発生します。
これらの諸経費を含めた利回りを実質利回りと呼びますが、不動産投資で運用プラン通りに進めるには、各コストを含めたシミュレーションが必要不可欠です。
例えば、一般的に不動産投資では運用時の諸経費、物件購入時の各費用として以下のようなコストが発生します。
年間の諸経費
- 管理費や修繕費
- 固定資産税や都市計画税
- 火災保険や地震保険
- 賃貸管理手数料
購入時の諸費用
- 仲介手数料
- 登記費用
- ローン関連の費用(手数料や団体信用生命保険など)
これらのコストを含め実質利回りを求めなければ、現実的な運用プランが計画できず、不動産投資が失敗してしまうのです。
そのため、不動産投資で利回りを確認する際は、必ず実質利回りを意識しましょう。
利回りの変動リスクを考慮する
不動産投資で利回りを確認する際、変動リスクを必ず考慮しましょう。
物件を選定する際に算出した実質利回りは、当然ながら購入時からずっと続く訳ではありません。
設備や外観、内装など様々な箇所にて老朽化がはじまり、築年数が増えていくにつれて、新規入居者の入居ハードルが高くなります。
新規入居者が見つかりにくくなると、空室や家賃の値下げなどから減収となり、当初計算した実質利回り通りには運用出来ないのです。
そのため、不動産投資を行う際は、利回りの変動リスクを踏まえたうえで運用プランを立てなければ、長期的に安定した投資には繋がりません。
税金や維持管理費、ローン返済に至るまで利回りの変動リスクは影響を与えるため、不動産投資を始める前に、投資会社と綿密なシミュレーションを行いましょう。
不動産投資先は利回りだけで決めない方が良い

近年多くの会社が不動産投資を提案していますが、利回りだけで決めない方が良いです。
ここまでお伝えしてきたように、不動産投資会社が提示する利回りは、諸経費を考慮していない表面利回りの場合が多いです。
表面利回りを基準に不動産投資を行うと、想定よりも収益が得られずに、投資に不満が残るばかりか、失敗してしまう可能性もあります。
そのため、不動産投資を始める場合は、必ず諸経費まで考慮した実質利回りを参考にすべきです。
そのうえで、不動産投資では利回りと合わせて、継続的に収益が見込めるかという視点が非常に重要です。
利回りが高いからといって、地方の中古物件を購入してしまうと、人口の少なさや過疎化による空室リスク、流動性の低さなどから不動産投資が失敗に終わる可能性があります。
利回りと長期的な収益性それぞれを意識して、丁寧に物件選定を行えば、堅実かつ安定した不動産投資が期待できるでしょう。
当サイトではおすすめの不動産投資を徹底比較していますので、興味のある方は参考にしてみてください。
不動産投資の利回りに関するよくある質問

